【エモみが深い】LilyPadで光るスカート作ってみた
以前宿題として提出した光るニット帽について、友人に話したところ「そういえばステージ裏からコンセントで電気を引っ張ってきて、車用のLEDテープをスカートの裾に貼って踊る猛者がいた。」と。
意外と光るだけでも需要があることに驚きました。
ステージ衣装で使用することを想定した「裾が光るスカート」を作成してみることに。
LEDが一つ→複数になるだけだからすぐに作れるだろう、と安易に考えていたのですが大爆死しました。
LilyPadとは
LilyPad ArduinoはArduinoシリーズの一種で、服や帽子やバッグなどの布地に縫い付けて使うことを目的としています。配線には、導電糸(電気を通す糸)を使います。パッドとの接続はハンダ付けではなく、導電糸をしばりつけることによって行います。
LilyPad Arduino 328 - スイッチサイエンス
要件
- バッテリー駆動で光る。
- バッテリーはUSB給電・充電ができる。
- スカートの重さは常識的な範囲におさまる。(重すぎてずり下がるのはだめ)
- 発光色・発光パターンを変更できる。
理論上、LilyPadを採用すれば問題なさそうです。
バッテリーはArduinoシリーズでおなじみのリチウム電池を使います。
Neo Pixelテープも取り寄せたんですが、はんだ付け技術が皆無だったのでやめました。取り外して洗濯できないし。
用意するもの
- ペチコート
- LilyPad
- LilyPad フルカラーLED
- 導電糸(スイッチサイエンス 極細タイプ)
- リチウム電池(リチウムイオンポリマー電池110mAh - スイッチサイエンス)
- 裁縫道具
- 人形用スナップボタン(石崎プレス 500番 8ミリ)
ほかの導電糸も試したのですが圧倒的に縫いやすいので、スイッチサイエンスの9mのものを愛用しています。
作成手順
- LilyPadのピンおよびLEDのピンすべてに、ボタン付けの要領でスナップボタン(凹)を括り付ける。
- スカートに回路を書く。
- 回路を手縫いする。
- 布側のLilyPadおよびLEDのピン設置箇所すべてにスナップボタン(凸)を縫い付ける。
もちろん直接基板を縫い付けて作ることもできます。
ただしスカートが洗濯できなくなることと、基板の使い回しを考え、スナップボタン取り付けを採用しました。
土台側(今回はスカート)に凸を付けた方が楽です。逆にしたところ基板をスカートから取り外す時に苦労しました。
できあがったもの
フルカラーLEDなのに青と緑が光っとらんのよ〜!(cv.千鳥 ノブ)
フルカラーLEDなのでR・G・Bすべてのポートに電力が供給されれば白く光るのですが、接触が悪いようです。
(ナイトモード撮影のせいなのか一部縫い目が消失してるように見えますが、ちゃんと接続してますよ。)
Arduinoシリーズのマイコンですので発光パターンのプログラムを書き込みたいところですが、この状態ではおもしろくありません。
ちなみに友人に話してからここまで2年かかりました。(モチベ低。)
ミシン購入
すでに何度も縫い直しているため、スカート生地に傷みが目立ってきました。
もう一本、作り直すことにします。
前回のスカートはすべて手縫いしたため、相当な時間がかかってしまいました。
そこで、通常のミシン糸で導電糸を覆い、手縫いした導電糸を保護・固定することにします。
回路
+と-が交差する場所はなるべく減らします。
ペチコートの形を崩さないこと、また平置きしたときに表裏のLED配線が接触しないよう少しずらすなど、諸々配慮して回路を考えます。
手縫いのときに直列に組んだ結果、全体的にLEDが暗くなってしまった(気がする)反省を踏まえ、LilyPad本体から並列に電気を取ります。
(もっといい回路があったら優しく教えてください。)
仮組み
縫製作業に入る前に基板どうしを製作予定の回路と同様にワニ口クリップで繋いで、問題なく発光するか確認します。
問題なさそうです🙆♀️✨
スカートにチャコペンで回路を下書きします。
縫製完了まで時間がかかるので、長期間消えないタイプのチャコペン推奨です。
点の部分にスナップボタン凸を縫い付けます。
線の部分すべてに2本取りで導電糸を手縫い。交差する部分は片方の導電糸をスカートの裏から通すようにして、回路を組みました。
こんな作業をLED合計8個分実施。画像は表の回路で、まだ裏面があります。
そのあと上からミシン糸で保護していきます。縫い目模様は山型ギザギザを選択。Sparkfunの動画やサイトでも推奨されている方法です。
できあがったもの(再チャレンジ)
主婦であり、社会人大学生であるものの、なんとか時間を捻出して、苦節5ヶ月。
幾度もミシンをぶっ壊し、メーカーへ修理にも出し、なんとか作り上げた集大成がこちら。
あ、あのLilyPadさん!
まだ色制御してないんですが!
上からミシン糸で保護したので、前回とは違い、スカートが動いただけで他の色の糸が接触することはありません。最終的な重さは75g。
導電糸は8m×2個と少しを消費しました。
多少ゴツゴツしますが、普通のペチコート(スカート)と着用感は変わりません。
白い綿のスカートの下に今回作った光るスカートを入れてみます。写真で見ると映えます👏
肉眼で見るともう少し光量が落ちます。悲しい。
ソース
念のためにソースコードを貼っておきます。
LilyPad公式は古いフルカラーLED準拠のソースコードになっています。
RGBポート(+)とグランドのポート(-)の形の新しいフルカラーLEDで動かすと、想定とは違う動作になりますのでご注意ください。
// Create integer variables for our LED pins:
int RGB_RED = 11;
int RGB_GREEN = 10;
int RGB_BLUE = 9;
void setup() {
// put your setup code here, to run once:
}
void loop() {
// put your main code here, to run repeatedly:
analogWrite(RGB_BLUE,255);
analogWrite(RGB_GREEN,255);
analogWrite(RGB_RED,255);
delay(50);
analogWrite(RGB_BLUE,0);
analogWrite(RGB_GREEN,0);
analogWrite(RGB_RED,0);
delay(50);
}
課題
やはり接触が悪すぎます。
8つすべてにフルカラーLEDを採用したので、R・G・Bのピンすべてに255を割り当てれば全力で白色に光るはずなんです。
しかしスカートを平置きした状態ではあまり光らず、吊るした状態でようやく先ほどの画像のように気まぐれに光ります。
基板とフルカラーLEDをワニ口クリップで直接つなぐとキレイに白く光りましたので、基板の問題ではなさそう。すべて導通確認しましたが、問題なし。途中で導電糸が切れているわけではなさそうです。
この作品はこれとして、後学のためにも他のLilyPad作品の動画を見てきましたが、選択する布地がまずかったかなと。
着用感を優先してペチコートを選択しましたが、他の方は綿のTシャツやフェルトに縫っているようです。
「テロテロ素材の布地(?)選択しないのは常識www」ってことですかね???
布と糸の研究までしたうえで、本番を作らなきゃいけなかった気がします。
素人が思いつきで作ってしまったので。不確定要素の多い電子工作は難しいです。あー、モヤモヤする。
あとは布をきっちり刺繍用の型枠にはめて導電糸を縫い付けていました。作業効率がかなり低下しますが、それも大事だったのかも。
ウェアラブルデバイスの可能性
LilyPadシリーズには光・温度・加速度など様々なセンサー基板が存在します。
LilyPad本体も4000円くらい、センサーは数百円程度です。専門の業者でなくても、製作できる材料が揃う時代になりました。
基板の取り扱い方やマイコンへの書き込み方法はたいてい公式サイトに載っており、わりと手軽にアイディアを実現できちゃうというわけです。
普通のハンドメイド作品と違うのは、量産が厳しいことです。こいつらはプロトタイプ向けであり、基板のお値段が高すぎます。
あとは洗濯することを考慮した基板(スナップボタンやマジックテープが付いてるとか)や導電糸が出てくると、多くの人にもっと手軽に作ってもらえる存在になると思います。
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Webアプリケーションのプログラマ(フロントエンドエンジニア) Angular(TypeScript) / Next.js / Cypress を主に使用。
前職はピアノ技術者(調律師)。2017年からブログ「trog」を運営。
あざらしと音楽が好き。
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