定価185000円のミシンを購入した話

概要

ブラザーのミシン FM2000Dを購入しました。購入を検討されている方の参考になれば。

ミシン売り場はどこ?

子供の頃に家族でジャスコに買い物に行くときはミシン売り場を抜けて食料品売り場へ向かっていた。いつも店頭に並んでいる、液晶画面のついたミッキーデザインのミシンが気になっていた。 大したディズニーファンではない。 しかしミッキーデザインの「コンピューターミシン」にすごく憧れていた。


時は流れ2020年。ご存知の状況でマスクの自作を検討する人が増えた結果、ミシン需要も高まった。 だからどこに行ってもミシンは売られていると考えていた。が、実はそうでもなかった。

市内最大規模のイオンにある手芸コーナーに3台。すべてダンボール箱に入っており製品の特徴は全くわからない。 そのテナントの電気屋に数台。ブラザーミシンは存在しない。 機能はどれも最低限。

実家がブラザーなのでせっかく買うなら操作に慣れた同じメーカーのミシンの展示品を確認してから買いたいと思っていたが、まるで選択肢がない。

ブラザーミシンの製品サイトには一般用ミシンに限ってもこんなに種類があるのに、一体どこに行ったら実物を見て買うことができるのか。

最後に地元民に愛されている自宅近くのアピタへ。理由は「布団売り場の面積がやけに広かったから。」つまりダメ元である。

展示会

あまり期待をせず食料品売り場を抜けると、なんと「ミシンフェア」の垂れ幕が。ブラザーのロゴも見える。

こんなことがあるのかと驚きつつ、売り場に近づくと普通のミシンや刺繍・ロックミシンなんかも並んでいた。約15種類ぐらいだろうか。 展示品の中にはなんとブラザーのサイトを見て目をつけていた「ミッキーデザイン」の刺繍ミシンFM2000Dが。おまけに定価185000円のところ、130000円の値札がついている。 「ミシンに130000円はちょっと高すぎね〜」と通り過ぎていく人が多かったが、わたしは悩んだ末に購入することを決意した。 この日はすでに夜8時。店員さんは朝10時からミシンの説明をしてくれるとのことで、翌日出直すことに。


昼過ぎに売り場をのぞくとおばあさんと店員さんが古いミシンを前に話し込んでいた。 (店員さんもわたしの祖母くらいの年齢に見えた。)

続々とミシンを見るお客さんがやってくる。いよいよわたしの順番が回ってきた、接客を終えてヘトヘトな店員さんがこちらを見てくれた。

FM2000Dがほしいことを伝えると実機を動かしながら説明してくれた。 昼休みから返ってきた先輩店員さん(祖母より年齢は上か…?)にバトンタッチ後はさらに詳しい話を聞くことができた。

ミシン事情

先輩店員さんが働き始めた昭和50年代の名古屋にはいたるところにミシン販売店があったらしい。 徐々に古くからのミシン屋は数を減らし、テナントの手芸屋や大手家電屋がミシンを販売するような時代になってきた。 当然ながら店員さんたちは「ミシンのプロ」ではないので、ミシンの使い方を知ったうえでミシンを売れる人というのはいなくなってきたそうだ。

しかしコロナ禍でおうち時間が増えたこと、マスク需要が高まったことから、ミシンを使う人が爆発的に増えた。

古いミシンを引っ張りだしてきて修理をお願いしにくる人が多いらしい。せっかくミシンがあるならと修理を依頼し、もう修理もできないとわかると安心して新しいミシンを買い換えるのだそうだ。

刺繍糸の販売場所

ブラザーミシンの糸は結局は単色買いが便利だそうだ。

糸には実は寿命がある。木綿や絹などの天然素材が使われていればなおさらである。 だからセットで買ってもしばらく放っておくと劣化してしまい、買い直すはめになる。

またセットの中でも使う色と、使わない色がわかれる。ブラザーミシンの刺繍糸は300mあるのだが、300m巻の糸であればスーツを1着仕立ててもまだ余るほどの長さらしい。 自分がどの色をよく使うかしばらく様子を見て購入するのもよさそうだ。

ただし、このブラザーミシンの純正刺繍糸を常に置いている店舗はない。 先輩店員さんには「手芸屋さんでは取り扱っていない」と言われたほどだ。 長者町繊維街からは糸の取り扱い点数の豊富さで有名だった丸善は閉店したため問い合わせることすらできない。 店舗紹介サイトに刺繍ハッシュタグの付いた某大手百貨店の手芸屋さんに電話したところ「ミシンの刺繍糸?ないです。」と鼻で笑われてしまった。

ブラザー直販以外で唯一ネットに記載があったのがユザワヤ。 しかしユザワヤの実店舗の店員さんに聞いてみるとブラザーから取り寄せが必要で店頭には置いていないらしい。オンラインショップで商品を購入して店頭受け取りにすると、商品1点の注文から送料無料になるらしいのでこれを利用するのが良さそうだ。


いまや直感的に操作できるスマートフォンが主流の時代である。 ミシンの操作は不器用な人にはちょっと難しい。 ファストファッションが台頭してきた現代において服は直してまで着るものでもなくなってきた。 子供のためにミシンを使う機会どころか、そもそも子供だって少ない。

日本にミシンが普及しはじめたのは明治のことらしいのでその歴史はせいぜい100年くらい。浅い。 布マスク需要が少なくなれば、またミシン売り場は縮小してしまうのかもしれない。